磁石のはなし

簡単な磁石の話を解説します。まずは、なぜ磁石の起源は何か?について説明します。

磁石の起源 〜磁石を次々に分割していくと・・・〜

 磁石には必ずN極とS極、2つの磁極がペアにあります。この磁石の起源(磁極が現れる起源)は何か?について考えてみましょう。

 小学校の理科の実験でも経験したと思いますが、右のように1本の棒磁石を半分に切ると、半分になった2本の磁石それぞれにN極とS極が現れます。どんどん切り分けていくと、沢山の小さな磁石が次々に現れるのが分かります。

 ところで、物質を次々と切り分けていくと、最後が原子になります。つまり棒磁石も切り分けていくと最後は原子になり、この原子一個一個が磁石のように振る舞っていることが想像できます(原子磁石)。

 このように磁石の分割を繰り返して原子レベルに達しても磁極はペアで現れます(磁気双極子)。この究極のペアを磁性(磁石の性質)の基本単位として、磁気モーメントと呼びます。

図1 微小磁石、原子磁石、電子磁石(スピン磁石)

 軌道磁気モーメントとスピン磁気モーメント

 さらに原子は原子核と電子で構成され、主に電子の軌道運動による電流電子の自転(スピン)によってこの磁気モーメントが生じます。

 まず電子の軌道運動による電流について説明します。電流が流れると磁場(磁界)が発生します。電磁石のように電流をコイル状に流すと、その中心はある方向をもった磁場が発生します(図2)。同様に、電子は原子核を中心とした軌道運動をしていて、この軌道が生み出す磁気モーメントを軌道磁気モーメントと呼んでいます(図3)。

 また、電子はスピンと呼ばれる自転運動をしており、これによって電子自身がスピン磁気モーメントと呼ばれる磁気モーメントを持っています。1つ電子軌道には、自転の向きが異なるアップとダウンと呼ばれるスピンをもった電子が、最大で1つずつ(計2つ)が周回運動しています。固体を形成する元素には原子1つ当り複数の電子を持っています。多くの場合、アップとダウンの電子が発生させる磁場は互いに打ち消し合っており、実際に原子が持つスピン磁気モーメントとして現れるのは、どちらかの向きに余ったスピンの向きの電子(不対電子)の数の分だけになります。

 図4は孤立した鉄(Fe)原子の電子配置を示しています。1s, 2s, 2p,・・・といった電子軌道に、原子番号が増加するに従ってフントの法則と呼ばれる規則に従って電子軌道は埋まることが知られています。鉄の孤立原子の場合、3d軌道にアップとダウンが打ち消し合わない電子(不対電子)が4つあることが分かります。

図2 コイルに電流を流すと磁場が発生する

図3 電子の軌道による磁気モーメント
 鉄原子ように不対電子元素は強い磁気モーメントをもつ物質(強いて言うならば強い磁石なる可能性がある物質)になる素質を持っていますが、実際には図1の右下に示したように原子磁石の向きが揃っていないと、原子の集合体である材料としては磁石にならないでしょう。

図4 Fe原子の電子軌道

 

磁石の歴史